
0likes
No Data Available
待ちに待ったユールボールの日。ダンスが始まるまであと5分。私は椅子に座ってパートナーを待っていた。1分、10分、20分、30分……そして1時間が経過した。けれど、彼は現れなかった。
悔しさと悲しさで、私は席を立ち、目に涙を浮かべてその場を後にした。急いで自分の部屋に戻ろうとしたが、ふと、心を奪われるようなメロディーが聞こえてきて足を止めた。それは小さな部屋から流れてきていた。好奇心に駆られて中に入ると、そこには一台のピアノと、セオ・ノットがいた。
私は静かに歩み寄り、彼の隣に立った。数秒後、彼は私の存在に気づくと、ただ微笑んだ。彼が見せたことのないその微笑みに、私の心の中にある何かが、ふわりと明るくなった。
「『City of Stars』よね?」
私は穏やかな微笑みを浮かべてそう言った。
「……ああ、そうだよ」
彼は低い声で答えたが、同時にどこか……温かみを感じさせる声だった。
同じ寮にいながら、これまで言葉を交わしたことさえなかった。けれど、たぶん今は、そのチャンスなのだと思った。
No Data Available